プロとアマの違い【ボクシング】

こんにちは。

とある歌に、
『燻るのは ちゃんと燃えたからだ』※燻る(くすぶる)
という歌詞があります。


あぁ、そうなんだなと思いました。

僕は少なくとも自分自身では全力で励んだと言えます。
それでも未練が残っているのはそういう事なんだなと。

辛いのはアマチュアのほう

実際の強さで言えばどっちが上?

未練と後悔

辛いのはアマチュアのほう


まず、単純に何が違うのかというと、
ルールが違うだけ
です。


ちなみにアマのほうが辛いというのは、
自分がアマだったからと擁護しているわけでは無く、
本当にそのような仕組みになっているからです。

アマチュア

①国内では3Rまで
②ヘッドギアは撤廃(2007年)
③グローブがプロよりひとつ上のオンス
④すぐにレフェリーストップが掛かる
⑤基本的にトーナメント戦

①アマは基本的には3Rです。
つまりラウンド数が少ないため、
開幕から最後まで全力で飛ばす。

なのでプロと違って手数が全然ちがいます。






②もともとはヘッドギア有りだったのですが、
長年の研究/検証によって、
ヘッドギアは『裂傷』を防ぐ以外に、パンチの衝撃は
有り/無しと比べ変わらないと結論付けられました。






③グローブは安全性考慮のため、
プロより少し大きいです。
ミニマム~ライト級までは10オンス、
ウェルター級からは12オンスです。



プロは8オンス、10オンスになります。
しかもプロのグローブはとても固いです。


もちろんアマも試合用のは固めですが、
プロと比べるとまだ柔らかい方。






④すぐに止められる。

これは自分があまり納得できなかったトコロ。
レフェリーの独断と偏見で、
グラついてもいないのに、クリーンヒットしただけで
止められる場合があります。






⑤トーナメント戦。

これが一番、アマのキツイところです
何故か分かりますかね?



減量です。



まずひとつ目の違いとして、
プロは前日計量です。
なので軽量の後、試合までに補給が出来る。

実際にプロの試合では選手の体重は、
リミットよりも2~3㎏は最低でも戻っています。
※畑山隆則選手は一晩で7㎏戻したと言われていましたね。


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に対してアマは当日計量
計量のあとすぐに試合が始まります。


そして『トーナメント戦』。


これが意味するところは、
試合に勝っても次の日にまた計量があるわけです


したがって試合がひとつ終わっても、
ご飯を食べられない


試合が終わってから走り込みなど、当たり前でした。


大規模な大会になると、
これが一週間くらい続きます



プロは最短でも月に1試合程度です。



アマがプロよりキツイ一番の理由はこれです。

どっちが強いか

結論を言うと、
どちらも同じです。

アマがプロより弱いという事はありません



例えば以前の記事で紹介した、
バンタム級の鬼の人であれば、
日本チャンピオンになって、
世界ランキング入り辺りまでは余裕でいけたと思います




先ほども書いた通りアマでは
レフェリーがすぐに止めちゃうんですね。
クリーンヒットしただけで止められるのは、
RSC(レフェリーストップコンテスト)といって、
ダメージが判断基準では無いからです



しかしバンタム級の鬼の人は
平気でダウンを奪っていました。
倒れるダウンです。
アマのグローブで。



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あと、トーナメント戦っていうのは、
ちょっと理不尽なところがあって、
例えば一回戦目で優勝候補と当たった場合
負ける可能性が高いですよね。


こうなると、本来は2~3位になれたはずの選手が
1回戦負けという烙印を押されるわけです



勝ち上がっていく『強い人』は、
確実に実力の証明になりますが
トーナメントで勝てなかった人が、
弱いという証明にはなりません。



ちなみに無敗の井上選手もアマ時代は
何度か負けています。
ルールが違うだけでこれだけ変わるという事です。

未練と後悔

僕はプロになりたかったです。


もし都会に住んでいたならば、
確実にプロを目指しました。



言い訳にはしたくないんですけど、
その当時はもう、
自分は沢山の命を背負っていたので
離れるわけにはいきません。





イキがってるように思われるかもしれませんが、
プロテストはアマを2~3年、経験していれば
100%受かります

戦績によってはテストを免除されます。




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もうひとつの根拠として、
高校を卒業してからジムに入門した時に、
高校とは違って、自由に練習出来たんですね



しかもスパーリングもヘッドギア無しでやっていいよ
って会長に言われて、
「え、まじで」って思って実際にやってみると
これがもう快適で快適で。



ヘッドギアって見た目以上に厚みがあるんです。
なので、ほんの数センチで見切ったつもりでも
ヘッドギアの厚みで相手のパンチが当たっちゃうんですね。


僕はこれが気に食わなくて

※ちなみに痛みや衝撃に関しては、ほぼ変わらないです。
 目のあたりはちょっと危ないですが。





高校の時って、ほぼ顧問の指示通りに
戦わないといけなかったんです。




でもジムで自分のスタイルに合わせた自由なやり方で
やってみると、世界が変わったというか、
ある意味、初めて自分の実力が実感できたとも言えました。

この『自由に』と言うのは、
足枷を外して羽が生えたような感覚でした。
大袈裟ではなく、本当に。


これは高校の地獄の訓練のたまものですね。本当に。
しかも日本1位の人とスパーリングしていたわけですから、
環境としては本当に恵まれていたと言えます。

マジで地獄だったけど。




ジムに入門して、接近戦以外で
僕に触れられる人は居ませんでした


僕は腕力が無かったため、
中距離でカウンター主体のスタイルです。





もしプロになった時に、4回戦程度なら
普通に勝てる自信が本当にありました


と言うよりも高校3年やっていれば、
プロの4回戦よりも確実にレベルは上です。

プロにはA級からC級ライセンスがあって、
まずはC級から始まります。
C級は4回戦。
B級は6回戦といったような。
数字はそのまんま、ラウンド数です。
日本タイトル戦は10ラウンドですね。
世界タイトルが12ラウンドになります。








プロになりたかったです

これが今でも未練として残ってるのだと思います。



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余談ですが、
ジムの会長には物凄く気に入って貰っていて、
当時、すでに定年過ぎのおじいさんだったのですが、
貰った言葉のひとつに、


「普段はやさしく楽しくでいいんだよ」
「リングの上だけで鬼になれば良い」




もうお亡くなりになられたけど、
今でもその言葉が僕に根付いている気がします。








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